筋トレとボイトレに力を入れすぎた理学療法士の話

整形外科クリニックの理学療法士(主任)。経験則を交えながら、忙しい社会人向けの筋トレ、ボイトレ、健康法についてお話しします。

むちうち損傷の治療③補償、慰謝料。頻回に通院しないと泣き寝入りになる

2018年7月に追突事故に遭いました。

 2018年12月現在では症状は大幅に改善しています。何となくすっきりしないという症状が残っているため、念のため11月に頸椎と腰椎のMRI🚇撮影しました。

 

www.dorathemute.com

 

 

今回は良く知られていない「補償制度について」簡単に書きます。難しかったらごめんなさい🙏

交通事故の補償というのは「自分が受けた苦痛、時間、労働力の損失をどう捉えるか」というのが重要になります。

 

事故後に保険会社から電話があり通知が来ます

以前のブログとも重複する内容があります。

警察に連絡して事故処理をした後に、自分の保険会社に連絡します。もちろん相手側の保険会社も聞いておきます。

※連絡先交換、保険会社への連絡、車の状況を撮影するなどは警察👮‍♂️の方が説明してくれます。指示に従えば大丈夫です。

 

人身事故扱いにするかどうか

病院を受診して診断書を交付してもらい、警察署に提出すると人身事故扱いになります。

※後日現場検証があります。

原則として「人身事故」扱いにするとされています。補償内容に関してはカテゴリーが別なので症状が軽ければ「物損事故」扱いでも良いと思います。

僕はすぐに治ると思っていたので診断書は提出せずに物損事故扱いにしました。

 

人身事故扱いにすると点数が引かれ、懲役や罰金などの処罰があります。過失割合や怪我の程度によっても変わります。

 

自分の保険会社で人身傷害保険に入っていると一時金が出ます

事故翌日(翌営業日)に自分の保険会社から連絡がありました。

まずは自分の保険会社から「5回通院すると一時金として10万円出ます」と連絡がありました。通院などの必要経費に対する一時金です。とりあえず症状があれば5回は通っておいたほうが良いです。

必要事項を記入して保険会社に郵送します。

 

※自分の補償内容は必ず確認しておきましょう。人身傷害保険(ほぼ加入しているはず)、弁護士費用特約には入っておいたほうが良いです。

 

相手の保険会社からも色々と送られてきます

その後相手の保険会社からも連絡がありました。車の修理、人身傷害の担当者は別になります。仕事しながらだと電話がうまく繋がらなくて苦労することもしばしば。

2日後くらいに補償内容、個人情報の取り扱いなどに関する手紙が✉️送られてきました。必要な項目を記入して郵送します。

 

自賠責保険での支払い基準

過失割合が低い場合はまず、自賠責保険から治療費が支払われます。支払い限度額は「1名につき120万円」です。

 

どのようなものが支払われるか(一部)

・治療費

診察、入院、薬、リハビリ(僕が携わっているのがここ)など

・通院交通費

別途記載する欄があります。自家用車、バス、タクシーなど🚕

経験上はタクシーの通院が頻回になると保険会社から別の交通手段を提案されることが多いです。揉めるポイント

・休業損害

収入に応じて変化します。治療期間内の実際に休業した日数、有給休暇を使った場合も含みます。

明らかに画像所見のないむち打ちで長期間休んでも、休業補償が出ない場合があります。なるべく早めに仕事復帰することを勧めています。揉めるポイント

慰謝料(重要)

精神的、肉体的な苦痛に対する補償です。月ごとに上限はありますが通院1回あたり「4200円」支給されます。痛くて家から出ずに寝ていたというのは最も損をするパターンなので面倒くさくても通院しておくことをおすすめします。

 

補償に関しては「実際に通院した日数を記載する欄」があります。後遺障害認定についても記載されていました。

 

後遺障害認定について

治療期間内に治ってしまえば良いのですが(ほとんどは3ヶ月以内に治癒すると言われている)

実際には症状が長期間にわたって継続する場合もあります。

しばらく通院すると保険会社から治療打ち切りについて言及されます。
事故から半年が経過して症状が残存している場合に「症状固定」とし「後遺障害認定」の申請ができます。
※症状固定とは「治療を続けても打ち切っても症状が変化しない」ことです

 

申請をすると事故に関しては示談になります(これ以降は事故についての請求は不可)

 

後遺障害が認定されると

・第1級4000万円

から

・第14級75万円

まであります。これも様々な仕組みがありますが、通院回数が多いほうが認定に有利とされています。

「むち打ち 慰謝料」←このままコピペ

で検索すると補償について詳しいサイトが無数にあるので、これ以上の細かい説明は割愛しておきます。

 

一旦は症状が長引くという前提で治療を受けておく


前回の記事で長引く症例について述べたのですがレントゲン、MRIではっきりとした病変が無いにもかかわらず初期に


・頚椎の強い痛み
・上肢のしびれ、知覚過敏
・頭痛、めまい
 
がある場合などは症状が長引くと予測されます。 さらに

 

・自転車🚲や歩行中に車と接触し転倒した

 

という事例も重症化することが多いです。

ちなみに上記のような患者は「半年経過した時点で症状が完全に良くなった方」は1人もいませんでした。

このような方には積極的に病院に通うことを勧めています。
始めの数ヶ月は痛みが強くてリハビリが上手くいかないこともしばしば。「3ヶ月〜半年くらい経過して急激に痛みが減少し運動療法の効果が出やすくなる」ということもありました。

 

知覚過敏がやっかいだと考えている

 

経験則ですが、片側に強い症状が出てそのまま継続します。痛みが移動したりぼんやりと全体的に痛いというのは信用できません。

痛みが長引いて治療が遅れるほど筋力も大幅に落ちてしまい首、背中、腕の筋肉💪がごっそり萎縮してしまうことも多いです。

 

さらに痛みの程度に関わらず

・怪我した部位を押すと非常に痛がる

・天気や疲労の影響で痛みが出やすい

などの知覚過敏がやっかいで長期化する人が多いです。仕事、趣味などは問題なく行えるレベルでも波があってすっきりしないです。


僕の場合も仕事や運動は普通に行えるレベル。左側だけ疲れやすかったり、重苦しい痛みが出ます。寒さが身に染みるというのが分かります。

 

人によって痛みや辛さの感じ方も違うため
・家事や仕事が辛い
・疲れやすい
・趣味活動、スポーツができない
 
など治療費とは別に精神的な苦痛を受けることがあります。その場合は相手や保険会社を責めても意味がないどころか、脅しと取られて立場が不利になる可能性も出てきます。
※僕は古傷祭りみたいな体なので慢性的な痛みに慣れています。精神的苦痛は非常に小さい…


通わないとお金が全く出ない


交通事故の慰謝料は


・通院した回数に応じて慰謝料が支払われる
・画像で痛みとの関連を証明できない場合がある

・頻回に通院しないと症状が軽くみられてしまう

・車の損傷が小さければ身体症状も軽く見られる

 
という仕組みなので「辛いのに引きこもっていると泣き寝入り」してしまいます。事故の大きさに関わらず症状がある場合は頻回に通院することをおすすめします。

大きな傷、骨折、腱損傷、靭帯損傷などは画像で証明しやすいものもあります。

 

個人的には軽い事故でも痛みの感じやすさが違ったり頸椎や腰椎の適合性が悪くて不安定など痛みが出やすい骨格や体質はあると思っています。ただエビデンス(根拠)としては不充分です。

僕は勤務先が病院なので通院するには非常に恵まれた環境です。仕事を遅刻、早退する場合も時間的な損失や、使った時間給を保険会社に請求できるので職場に相談しましょう。

 

 

 

※随時追記、更新、訂正していきます