筋トレとボイトレに力を入れすぎた理学療法士の話

整形外科クリニックの理学療法士(主任)。経験則を交えながら、忙しい社会人向けの筋トレ、ボイトレ、健康法についてお話しします。

整形外科クリニックの理学療法士臨床実習マニュアルを作りました

※令和元年5月の記事。理学療法士向けの記事です

 

 

ここ数年は4月~5月に理学療法士の臨床実習指導者として学生と関わっています。来年からは方針がガラッと変わります。より忙しくなりそうな予感。

www.dorathemute.com

もちろん実習生を受け入れるメリットも大きいのでなるべく続けていきたいと考えています。色々な情報を得ることができますし、謝礼き…

しかし毎年実習に関して悩むことも多く、小さい職場なので相談する人も少ない…

 

僕が特に悩んでいたのは

学生がどのくらいのレベルになるまで指導したほうが良いのか?

ということです。理想は僕自身が10年間で培ったスキルのほとんどを伝えて、社会人になった時に苦労しないレベルにしたい。と思い毎年張り切っていたのですが、おそらく間違っていました。

 

毎年こんな状況なのに張り切りすぎて自分自身も疲れ切ってしまいました…

 

先に言ってしまいますが「学生のレベルを少し上げるだけで良い」という結論に至りました。もちろん手抜きするわけではないです。

その考えに至ったのが

大学、地域の最大手病院が主催の臨床実習者研修会に参加

これが本当に有意義でした。参加費2000円くらいだったのですがコスパ最高でした。

 

まずは大学の先生の話から

主な論点が2つあり

・学内での成績と、臨床実習指導者の成績のつけ方には関連性が乏しく、指導者によるばらつきが大きい

というデータを示されました。指導者の主観が大きいということですね。実習指導者の権限が大きくなれば、相性によって落とされる学生が増えるかもしれません。

・臨床実習指導者は実習中にレポートを見なくてよい。なるべく多くの体験をさせてほしい。レポートは大学側で判断する

というものです。反論として

「レポートをチェックしないと学生が担当症例のことを把握できているか判断できない」という声があがります。

個人的には担当症例に関する意見交換は必要ですが、レポートは見なくても良いと思います。

結局は指導者によるばらつきが出てしまうので「レポートを見て学生の評価をできた!」という自己満足に陥る可能性もあります。

 

ちなみにレポートとはA4用紙で5枚分くらいです。多い。うちの大学ではこんなの無かったような…

 

次は茨城県南の大型病院の臨床実習マニュアル

やはりスタッフも学生も多い病院ではキッチリとしたマニュアルがありました。そこでは学生が不安にならないように実習スケジュール表を作り、オリエンテーションに時間をかけるという話がありました。

「さすがだ…うちも整形外科クリニック用に作らなければ!」

と思い実習マニュアルをパクり…ではなく参考にしました。

 

以下が概要

実習スケジュール(7週間)

〜1週目〜

・オリエンテーション、ROM(関節可動域)測定、MMT(筋力)などの方法を確認。担当症例に対して素早く安全に行えるかどうかのチェック。

・初回評価。整形外科クリニックは外来リハビリのため、多くても週2回程度の来院。自己都合でのキャンセルもある。実習指導者と相談しながら何をどのように行うかを決めておく。

※学生が分からなければ実習指導者が「これは最低限見ておきましょう」とアドバイスします

・他部門からの情報。医師からの情報がメインである。レントゲン、MRI画像を見ながらリハビリを行う目的や予後予測(どの程度良くなるか)を考える。

※発表、レポートではここを上手に書けない学生がほとんど

 

〜2週目〜

・担当症例に対して考案したプログラムを試して反応を見る

・空き時間があれば触診、治療技術を教える

・中間評価、追加して見るべき項目があるか相談👀

 

〜3週目〜

・中間評価、プログラムの修正。分からないことは確認しておく

・大学教員の実習地訪問。担当症例の概要を説明できるようにしておく。大学提出用のレポートを途中まで作成しておくと良い。

※さらにビジネスマナーや見送りの方法なども教えます

僕自身は名刺をスマートに交換するシミュレーションをしました

 

〜連休〜

地方から来る学生が多いため、帰省することが多い。担当症例との話題作りにもなるため、帰省中に地元の観光案内をできるくらいにしておくと良い。

「学生さんはどこ出身ですか?」

「●●県です!」

「何か有名な場所とかありますか?」みたいなやりとりあります。テンプレート的に覚えておきましょう。

 

〜4週目〜

連休明けに体調を崩す学生が非常に多い。

・担当症例に関しては、プログラムの修正程度

・余裕があれば様々な症例に対して検査、評価、それに対して即時的にプログラム1つ考える。みたいなエクササイズをする

 

〜5週目〜

・最終評価。リハビリ介入したことによりどのような変化が出たのかを判断する

 

〜6週目〜

大学発表用のレジュメを作成し、簡易的な症例報告を。3つくらいキーワードを織り込んだタイトルをつけてもらう。

(例)「変形性膝関節症の術後」の「膝伸展パターンの歩行」に対して「大腿四頭筋トレーニング」を行い改善が認められた症例

 

〜7週目〜

成績表の記入、打ち上げ(任意での参加)、実習終了

※無断欠席などがなければ不可にすることはないです

 

注意点として

・個人情報の取り扱い

レントゲン画像、MRI画像を印刷した用紙は学生に渡している。個人情報の部分だけを切り取ってシュレッダーにかけている。

 

・調べ物について

自分自身の持っている教科書、参考書を使う。しかし学生では自分の欲しい情報がどこに書いてあるかを見つけることが非常に難しい。

まずは実習指導者に相談する。疑問点を自分自身で調べてまとめるというのは時間がかかりすぎてしまう。

必要時はスタッフが持っている参考書を貸し出している。

 

・体調不良

まずは大学に連絡。その後病院の電話に連絡を。

原則として指導者、学生での連絡先交換は禁止している。

 

必要時に追記していきます

 

 

理学療法 臨床実習サポートブック レポート作成に役立つ素材データ付

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