筋トレとボイトレに力を入れすぎた理学療法士の話

整形外科クリニックの理学療法士(主任)。経験則を交えながら、忙しい社会人向けの筋トレ、ボイトレ、健康法についてお話しします。

腰痛の原因と生活指導⑨こたつや入浴後に腰痛を生じることもある

f:id:dorathemute:20181227235420j:image

年末の大掃除で住んでいるマンションの掃き掃除🧹、窓掃除、外壁掃除を1時間くらい行ったら腰が悲鳴を上げました。仰向けになってもだるい。腰が妖怪にでも取り憑かれたような気分になります。

 

たまたま2018年12月に冬を感じさせる腰痛の症例が続きました。ぎっくり腰や脚立から落ちたなどの外傷も多いのですが…

「入浴後に腰痛を生じる」

「こたつに長く入っていると腰痛を生じる」

「ストーブやヒーターの前にいると腰痛を生じる」

こんな感じの珍しい訴えが別々の患者で3件ほどありました。

 

リハビリ関連の書籍でも温熱療法(温泉なども含む)は慢性腰痛の治療としては推奨されています。効果はあくまで即時的ですが、温めると腰痛に悪いという話はほとんど聞かないです。

 

「温泉もダメなのかしら?」なんて聞かれちゃいます。

「うーん。良くわからないですね…」というのも悔しいので、もう少し詳しく話を聞いてみました。そしてなぜ腰痛が起きているのかを分析し対処できるかどうかを検討しました。

 

※結果的には寒い時期特有の椎間板性腰痛と判断し、対処法を指導しました

 

www.dorathemute.co

僕自身の腰痛について話そうと思っていたのですが次回以降にします。 

 

温熱が悪さをしているわけではなく、長時間の同じ姿勢が原因でした

詳しく話を聞いてみると

・入浴後に腰痛を生じる

寒いため30分から1時間程度浴槽に入っている。その後立ち上がるときに痛みがでる。

 

・こたつに長く入っていると腰痛を生じる

30分以上こたつに入ってテレビを見ている。トイレなどに立ち上がるときに痛みがでる。

 

・ストーブやヒーターの前にいると腰痛を生じる

ストーブやヒーターの前で縫いものなどの作業を長時間行っている。その後立ち仕事を行うときに痛みがでる

 

ちなみに腰の一部に圧痛点がある(押されると痛い部分)立ち上がるときに腰を反らすことができないという訴えも共通でした。おそらく椎間板性の腰痛であろうと判断し対処法を指導しました。

 

腰に負担がかかる姿勢を長くとらないように

・入浴後に腰痛を生じる

寒いため30分から1時間程度浴槽に入っている。その後立ち上がるときに痛みがでる。

入浴時間を15分程度にするか、数分おきに浴槽から立ち上がる

 

・こたつに長く入っていると腰痛を生じる

1時間以上こたつに入ってテレビを見ている。トイレなどに立ち上がるときに痛みがでる。

こまめにに立ち上がる、横になる、背筋を伸ばす

 

・ストーブやヒーターの前にいると腰痛を生じる

ストーブやヒーターの前で縫いものなどの作業を長時間行っている。その後立ち仕事を行うときに痛みがでる

こまめにに立ち上がる、背筋を伸ばす

長時間の同じ姿勢で椎間板などが後方に押し出される

とくに猫背姿勢などを長時間続けていると背中の筋肉、靭帯が緩み、椎間板が後方に押し出されます。

中腰での作業、掃除機をかける、しゃがむ姿勢での作業などは組織が強く引き伸ばされるため短時間で限界がきます。

猫背姿勢を取り続けた場合には、背筋を伸ばしても組織が元通りになるまでにタイムラグが発生します。中腰やしゃがんで作業をした後に仰向けになるとしばらく不快になる現象が出ます。ぎっくり腰などを起こしやすくなるため注意が必要。

 

こういう場合には腰を反らして一呼吸おくと効果的であり、腰痛のリスクを減らすことができます。

 

冒頭の症例では腰痛が減りました

患者自身が腰痛の原因を知り、うまく対処できたため生活の質が大幅に改善しました。しかし、各々の理由で腰部の耐久力が落ちているため痛みを0にするというのは難しいと思います。

良い例だけを集めたのですが、このような症例は山ほどあります。このような椎間板性の腰痛は結果を出しやすいと思っています。

 

この時期だと旅行✈️に行く人に対して

「温泉旅行♨️も移動時間が長ければ、途中休憩を挟んで腰を伸ばしましょう。旅行で腰痛になった人も少なからずいます。」と伝えることもあります。

 

参考書籍

様々な腰痛本を読んでいるのですが、医療者であれば下記の本をおすすめしています。腰痛の病態や力学に関して詳しく書かれています。担当症例がこの本の内容に当てはまればかなり高い精度で腰痛をコントロールできるようになります。

 

こたつでブログを書いてきたら腰があやうくなってきたので足りない部分は追記します。

 

次回こそは自分自身(理学療法士)の腰痛について