筋トレとボイトレに力を入れすぎた理学療法士の話

整形外科クリニックの理学療法士(主任)。経験則を交えながら、忙しい社会人向けの筋トレ、ボイトレ、健康法についてお話しします。

変形性膝関節症は治らないのに、なぜリハビリをするんですか?と聞かれた話

2020年6月の記事

 

ここ最近、仕事関連の真面目なツイートにもぼちぼち反応がありました。今回は変形性膝関節症について。過去にはこんなの書いてました。

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痛みなど炎症症状が強い場合、運動によって変形を助長させる可能性があります。変形が進んでしまうと元には戻らないので注意しましょう。

 

 

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トレーニングをするなら、なるべく日常生活で使う範囲を動かしたほうが良いです。普段しゃがむ人ならフルスクワットまで行うほうが効率的。

原則として炎症症状を引き起こさない、悪化させない範囲であればスクワットや正座も行っても問題ないと考えています。

 

こんな考え方がベースにあるのですが、またまた担当の高齢者より

変形性膝関節症のリハビリに対する意義を問われた

「医者から変形性膝関節症は治らないと言われた。なのに、なぜリハビリをするんですか?」と聞かれました。

これは高齢者から非常に多い質問であります。

どう思いますか?

 

変形性膝関節症というのはいわゆる加齢、外傷後の変化、古傷の悪化などが原因となり

・軟骨がすり減ってクッション性が悪くなる

・滑膜(関節を包んでいる膜)が増殖し

 

痛みが出たり、関節可動域制限(硬くなり動きが悪くなる)などの症状が出ます。これは不可逆的な変化(元には戻らない)と言われています。

 

良くグルコサミンなどのサプリメントなどについても質問されます。しかし、先に述べたように軟骨がすり減るだけでなく骨や滑膜といった組織が増殖することもあるため、軟骨成分だけを摂取する意義は低いと考えています。

 

 

 

さて、先ほどの質問ですがテンプレートの回答があります。

変形性膝関節症の症状は「痛くなったり、治まったりするもの」

であり、良い状態に持っていく必要がある。そのために関節の動き、筋力、活動量を調整する。これはリハビリである程度可能になる。

 

と答えています。

 

痛みの原因としては

・炎症症状

特に関節が変形する過程で強い痛みが出る人がいます

・痛みの神経が刺激される

硬くなっている部分、動きすぎてしまう部分があり、特定の部位に負荷がかかる

 

が多く理学療法(いわゆるリハビリ)で解決できる部分もあります。

関節の動きを良くする、筋力トレーニング、日常生活の指導、運動量の調整などを行います。

まずは目の前にいる患者がどのような状態なのかを判断して少しでも症状を軽くします。

症状が安定したら悪化させないようなアプローチを考えていくわけです。

 

これらはリハビリ専門職の強みです。

もちろんリハビリでは解決できないこともあるので「この症状はリハビリでは解決しない可能性があります」とも伝えています。

 

ただ残念なことに

症状が進行してから来院する患者が多い

本当は早めに対処できたほうが取り返しがつきます。我慢に我慢を重ねた結果、元には戻らないような膝になっていた。というパターンを多く見かけています。

 

それでも力の限りを尽くすのですが、できればもっと早い段階で関わりたかったな…と思うところあり。

 

そのうち病院に来る前段階の人たちを集めて活動できたらと考えています。

 

ブログやTwitterでもぼちぼち発信していこうと思うのでよろしくお願いします

 

さらば