腰痛の原因と生活指導③腰に負担のかかる姿勢
理学療法士はリハビリで姿勢分析、動作分析を行います。腰痛に関しては腰に負担のかかる特有のパターンがいくつかあるのですが、最もポピュラーなものを紹介します。
※文章から想像していただく内容になってしまいます。わかりやすい図を見つけたら追記します
いわゆる猫背姿勢
普段から姿勢には気を付けているので背筋をピンとした写真が多いのですが、ライブの本番前はこんな感じになっているようです。しゃがんでサウンドチェックをしている場面です。
あとはスマホをいじっている時、家事、荷物を持ちあげる、顔をあらうなど前屈姿勢(いわゆる猫背)になることは多いと思います。
リハビリで問診を行う場合でも猫背の姿勢が悪い、首や腰に負担がかかるというのは患者自身もわかっていることが多いです。
※しゃがみ込む姿勢は負担がかかるのでおすすめしません
なぜ負担がかかるとわかっていながらこのような姿勢をとってしまうのだろうか?
筋肉を使わない楽な姿勢だから
座っている時に前屈してくる背筋の活動が大きくなるのですが、ぐにゃりと曲げきると背筋の活動が限りなく0になります。つまり「猫背姿勢=エネルギーを使わない楽で効率の良い姿勢」とも言えます。無意識に疲れない姿勢を選択しているということです。
※立っているときは前屈していると背筋の活動が大きくなります。膝を曲げたりお腹を突き出したりするとうまくバランスがとれて活動を0に近づけることができます。参考までに。
ちなみに猫は背骨で丸いアーチを作ることにより、4足歩行でバネのある効率良い動きを可能にしています。ボクシングなども背中を丸めてアーチを作るとパンチや避ける動作などの効率が良くなります。
ではこのような姿勢を取っているとどのような悪影響があるのだろうか?
しばらくすると筋肉、靭帯、椎間板などに変化が起こる
筋肉、靭帯は張力がかかり続けると緩んできます。椎間板は圧がかかって後方に押し出されていきます。
筋肉は酸欠、筋力低下を起こす
緩んだ筋肉が自分の組織に圧迫されて酸欠状態になり鈍い痛みや不快感を生じるようになります。また、伸ばされた筋肉は縮む力💪が低下します。
後方に押し出された椎間板は靭帯を圧迫すると
圧迫され続けると徐々に組織が裂けたり痛んできます。このような状態で咳、くしゃみ、重い荷物を持ちあげるなどを繰り返すとぎっくり腰や椎間板ヘルニアのリスクが高くなります。タイミングが悪いと立ち上がりや軽い荷物を持ちあげただけでも上記のような状態になることがあります。
緩んだ組織が元通りになるまで少々時間がかかる
筋肉、靭帯、椎間板などの組織は姿勢に合わせて形を変えたまま留まる性質があります。
例えば5分間猫背姿勢をしたあとに腰を伸ばす、反らす動作を行うと組織がリセットされて正しい位置に戻ると言われています。すぐに戻るわけではなく、タイムラグがあります。少なくとも5分以上はかかると思います…
細かい数字は持っている本のどこかに書かれていたと思います💦
※可塑性(かそせい:Plasticity)と言います。
組織が壊れてしまったら元通りにならない可能性がある
短時間であれば負担のかかる姿勢をとってもそれほど影響はないと思います。負担を積み重ねていくと組織が破綻してある日突然強い腰痛を生じる可能性があります。
良い姿勢を心がけて腰痛と言いたいが…
上記に述べたように「腰に負担がかかる姿勢=楽な姿勢」です。姿勢が悪い人は背筋を伸ばしているとすぐに疲れてきます。
まずは1日10回くらい座っている時に腰を伸ばすことを意識するところから始めるようにリハビリ場面で生活指導を行うことがあります。徐々に背筋を伸ばした状態で筋肉を使うことに慣れてきます。
立ち上がってから腰を伸ばして一息つく
長時間のデスクワーク、長時間の運転後、草取りなど庭仕事の後は立ち上がったら腰を伸ばして次の動作の準備をするくらいのほうが安全です。少し面倒くさいけど。
僕は最近だと引っ越し準備の時に危険を感じました。
少し意識するだけでも腰痛が予防できるので、1年以上腰痛を患っている方には是非とも参考にしていただけると嬉しいです。
次は腰が曲がっている高齢者について書こうと思います